音響用ハーネス製品の製作を承っております。

AL-APOLLO

IEMケーブルは難しい

自作ケーブルを好んで使用しており、これまでインコネ・IEMケーブル・HPケーブル・USBなど
少なくとも1000本以上は作っております。その中でもIEMケーブルで良い物を作るのは難しいと感じています。
そもそも、IEMケーブルで良いものとはなにか。出てくる音の品質が良い、性能が高いものは良いということは
通常どのケーブルでも共通してあったほうが良いものだと思います。

ただ、IEMケーブルは音が良ければOKというわけではありません。
アンプやプレイヤーからIEMへと音を引き込む重要な役割を担っていますが、
長い距離を引き回すため、装着感や快適さにも直接影響してきます。
つけ心地が悪いと音楽を楽しむにも装着感が気になったり、硬いケーブルでタッチノイズがでたり…
ヘッドホンケーブル以上に音以外の要素でシビアさがでてきますので
そのような影響がでないような線材選びや製法が重要です。

音が良いもの・柔らかい線材のどちらかの属性を持っている線材は多くあります。
しかしその両方を持ち合わせた線材というものはごくわずかにに限られ、
市販品・自作ユーザーの視点に立ってもシビアさがあるように思います。
反対に言えば、課題が多くあり音の面でボトルネックになりがちな箇所でありますので、
ここを解決すると音質改善に大きく貢献できる箇所であるとも言えます。

効果的な音質改善と快適さを両立したケーブル欲しさに、
2年間かけて軍需品IEMケーブルの開発を行っていきました。

ケーブルの基本コンセプト

2年前から製作を続けており一度記事に上げております。
その時も音・快適さの2点を両立した良いものを作ることをコンセプトにしてあげておりますが
2年経ったいまでもほぼ変わりはありません。作る上での具体的な目標は下のとおりです。

・低音/高音ともにレンジが広い
・解像度が高く定位も良好なもの
・音場が広いもの
・タッチノイズがほぼ出ずに取り回しの良いもの
・音に温度感がなくクセが少ないもの

2年前も軍需品線材を使用しておりましたがゲージも太く皮膜が厚いものであったため
タッチノイズ・取り回しの対処が厳しい状況でした。取り回しの向上のため
GNDにPCOCC・5NOCC・カナレの4Sなどを使用したものを作成しましたが見事に音質低下。
音質・快適さのどちらかを取るか、両方が中途半端になるかといった状態でした。

欲しいと思うものを作るにはコンセプトに沿って全てを満たす必要があるため
素材や製法を変えて引き続き作成しました。最後に上げたクセのないものは
IEMケーブルを何度も取っ替え引っ替えしたくない、より上流のところで
環境が完成されているべきという考えから挙げております。

これらの前提のもとでケーブルの作成を進めます。

製作

今回使用した線材はPTFE皮膜の米軍仕様の銀メッキ導線です。タッチノイズ抑制のために
皮膜が薄く細いものを特別に使用しております。皮膜は一応テフロンらしいですが
デュポン社のものかは不明なためPTFEと表記しておきます。

PTFEは数ある皮膜の中でもトップクラスに誘電率が低く音質的に優れた素材です。
中高音の音の損失が少なく、分解能・解像度が高いです。低音もやや固めに締まり
全体的に見通しが良くなる傾向があります。(銀メッキとの相性で軍需線はクセはありません)
音は良い反面PTFE素材は硬くIEMケーブルとして使うとタッチノイズがしっかりのります。
カチカチとした音がダイレクトにIEMから伝わってきて通常はおすすめできない素材です。

ただ、薄手のものや柔らかく加工されたものも中にはあり工夫次第ではIEMケーブル用に
使えるようになります。今回は薄手のものが入手出来ましたので信号線・GNDにそのまま採用。
軍需線材を丁寧にツイストし薄手の収縮チューブで覆いました。

USM-IEMc-Connector
丁寧に撚り収縮チューブでしっかり線を固定することで柔軟な取り回し、ストレートな音質、
タッチノイズの抑制を実現できます。
オヤイデさんより新たに出た薄手の収縮チューブを使用すると上質な仕上がりになります。

USM-IEMc-BUNKI

分岐部・スライダーにはオヤイデさんの保護キャップを使用。TIC1.25かTIC2.0、一個10円ぐらい。
キャップを1/3・2/3ずつ切り、長い方を分岐部に、短い方をスライダーに使います。
分岐部側は接着剤などで固定しておけば問題ありません。 あわせて分岐部にメタリックラベルを。ロゴはブログトップにあるものです。
ラベルを線材に貼り付けチューブで固定するだけで見栄えがよくなります。

プラグはオヤイデさんで売られているノーブランド小型品を使用しております。
2年前の記事ではViablueを使いたいと書きましたが音が良くなく、音を犠牲にしてまで
デザイン・高級感にこだわりたくないという考えから採用を取りやめました。
線材の処理も編みこみでなくツイストにしたのも音質のためです。(ツイストでも美しいと思いますが)

はんだはピークが少なくバランスが整うもの、はじめに上げたコンセプトに最も相応しいと思うものを
利用しております。はんだ聴き比べは軍需線を利用して行ってきましたが、
線材の情報量が多いためかしっかりと影響を受けます。
もし、自身で作られる場合には はんだリストを参考にすると良いかもしれません。

solder-m

はんだの影響の受けやすさから今回は線材>はんだ>プラグ>製法の順番に重点を起き
コンセプトを元に選定など行いました。以上が製作の全容です。完成品はこちら。

USM-IEMc

簡易レビュー

音のバランスはフラット、クセは少ないですが強いていえば中域に上質な滑らかさがあるぐらいです。
全体と通して情報量が多く音の潰れがあまりありません。
PTFE特有の分解能や音の損失の少なさがうまく現れておりIEMケーブルとして一皮向けた仕上がりで
あるように思います。あまりクセを出さずにケーブルのグレードアップを行いたい場合、
はじめのコンセプトに少しでも共感出来た方には面白い選択肢になりえるかもしれません。

仕様

製品名:AL-APOLLO
長さ:全長約120cm(ハンドメイドで多少の誤差はあります)
分岐長さ:39~42cm
プラグ:3.5mmステレオ(ストレート・L・4極)、2.5mm4極、IRISなど
コネクタ:MMCX(CIEM/SHURE/Westone)、CIEM2PIN(埋込対応)、Fitearなど
色:(青、緑、茶、橙、灰、2色ミックスなど)
納期:3週間~8週間

価格とオプション

基本料金は¥10,900+送料(¥200/¥380)です。
1ドル120円以上でレートが推移していることが多いため、¥500値上げしました。
発送はスマートレター、もしくはレターパックを利用の予定です。

ユーザーの皆様がお選びいただけるオプションは下記のとおりです。

◆カラー

赤、橙、緑、青、青紫
※今回はどのカラーも供給量は少なく需給のバランスを取る必要はないと判断したため
人気カラーへの追加料金は設けておりません。

プラグ〈括弧内は追加料金です。〉

・3.5mmストレート(標準品/¥0)
・3.5mmカーボン ストレート(¥1,100)
・3.5mmカーボン L型(¥1,400)
・3.5mmL型(¥700)
・3.5mm4極(¥200)
・2.5mm4極(¥250)
・2.5mm4極 カーボン(¥1,250)
・P3.5G ストレート(¥550)
・P3.5G L(¥850)
・IRISコネクタ(¥1,000)
・ソニーバランス(¥700)
・2.5mmデュアル(¥1,600)
・ヒロセコネクタ(¥800)
・Venture Craft 2.5mm 4極プラグ(¥4,000)
・その他(ご相談ください)

◆コネクタ〈括弧内は追加料金です。〉

・CIEM 2Pin (埋込対応/¥0)
・CIEM/SHURE MMCX(¥300)
・Fitear(¥2,300)
・Westone MMCX(¥500)
・UE18 PRM 用埋込コネクタ(¥600/自由記入欄にご記入ください)
・Sony XBA-H2/H3用 MMCX(¥1,000)
・その他(ご相談下さい)